月村了衛の月録

小説家 月村了衛の公式ブログ        連絡先 fidenco@hotmail.co.jp 

八幡くん

かなり以前にも書いた覚えがありますが、本ブログは「月録」と銘打っているので月に一回の更新で済むはずですが、逆に言えば月に一度は更新しないとならないわけで。

そこでどうでもいい話を少しばかり。

 

□これは本当に何度も書きましたが、何度書いても「近未来」と紹介されてしまう『機龍警察』の舞台は近未来ではありません。現代です。

ことほど左様に読者(と一部メディア)とは作者の言葉に興味を持たないものなのだなあと痛感するばかりです。

もっとも当初は「至近未来」と自称していたのも事実なので、自分が悪いと言えそうですが、現実の政治的腐敗が作者の想像力を遙かに超える速度で進行したため、数年前から「現代」としました。

『自爆条項』を書いていた頃は、イギリスがEUを離脱するなど誰が予想し得たでしょうか。

「ドローン」なる名称が一般化し軍事的にも日常的にも汎用されるようになろうとは。

何度でも書きますが、現実の暴力から目を逸らしてはならない。

『機龍警察』を無邪気に「近未来」と言える人は、現実を見ていないだけです。

 

□私の作品に登場する、ある種の端役が一部の読者の間では妙にウケているようです。

『焼相』の犯人とか、『暗黒市場』でガムザに殴られる下っ端とか。

そういう人物の集大成と申しますか、最高峰が「八幡くん」ではないかと思います。

「誰だそれ?」と思われる方も大勢いらっしゃることと存じます。

「八幡くん」とは、連載版の『欺す衆生』に出てきた(連載一回分)人物で、単行本化の際の改訂に伴い削除されました。

(念のため申しておきますが、書籍版の方が全体の完成度が上なのは間違いありません)

八幡くん登場回(兼退場回)で大活躍していたのが、書籍版で少しだけ登場するヤクザ「煙沢」で、哀れにも八幡くんと一緒にシーンごとカット。分量の割には変わった名前なのはそのためです。

この八幡くんの最低なザコぶりはなかなかのものでしたね。

「ケムリの兄貴」(八幡君命名)は機会があればどこかで再登場させたいと思っています。