読者は作品を好きなように愉しめばいい。私は基本的にそう考えている。
だから、作者の立場としてあえて言わないことも多々あったりする。
しかしごく稀ながら、あまりに鋭い指摘をしてくれる人もいて、思わず膝を叩いたりするのである。
『機龍警察』シリーズなどで協力を仰いでいる元キャリアの坂本勝さんが、拙作『半暮刻』についてブログ「新宿あたりから世界を語ってみる 2023/11/02」で触れて下さっている。
それを読んだとき、同作の核心を見事に言語化していて、正直に言って感嘆した。
特に舌を巻いたのは次の一節である。
「読者は、作中の翔太に深く同情しつつも、翔太の人生を歩みたいとは思わないはずだ。同じ生きるなら、むしろ社会的に成功を目指す海斗になりたいのではないか。僕らが海斗にならないのは、「人間性」豊かだからではなく、知恵と才覚と機会が足りないだけなのではないか。」
そうなのだ。
海斗とは、私であり、あなたなのだ。