月村了衛の月録

小説家 月村了衛の公式ブログ        連絡先 fidenco@hotmail.co.jp 

『香港警察東京分室』を巡る諸々

六月八日付のYahoo!ニュースでまたもこんな記事が上がっておりました。

中国「秘密警察」日本拠点の証拠 - Yahoo!ニュース

作品に関する取材ではよく「知っていたのか」とか「予見していたのか」と訊かれますが、

残念ながら私はそこまで聡明ではなく、偶然であります。

しかし私は作品の着手に当たり、取材を進め資料を丹念に読み、自分で確信が持てるようになって初めて筆を執ります。

刊行後にこうしたニュースに接すると、そのつど、自分の目は間違っていなかったとほっとするような、そして虚構を越える現実の恐ろしさに慄然とするような感慨を覚えます。

 

また「軍事研究」七月号に『香港警察東京分室』の書評が掲載されました。

〈中国が各国に警察拠点を設けている問題が日本でも報じられるようになったが、その先のリアルを見据えた警察小説。畳み掛けるアクションと心理戦、やがて薄皮を剥くように国の有り様が浮かんでくる過程が鳥肌もの〉

とは、まさに「我が意を得たり」の感があり、短い中でよく表現して下さったと、感謝というより感嘆しております。

PODCAST 後編

文芸ポッドキャスト番組【本の窓】  小説にまつわる〝耳寄り情報〟をお届けしていきます!! | 小説丸 (shosetsu-maru.com)

PODCAST後編がアップされました。

前回よりエラソーで恐縮です……

警察小説について語っておりまして、警察小説新人賞のみならず、その他の新人賞に応募しようと考えておられる方には参考になる部分もあるのではと思います。

まったく参考にならなかった、ということもあり得ますが、よろしければどうぞ。

 

PODCAST

文芸ポッドキャスト番組【本の窓】  小説にまつわる〝耳寄り情報〟をお届けしていきます!! | 小説丸 (shosetsu-maru.com)

『香港警察東京分室』執筆秘話について語っています。

聞き手の担当編集・奥田さんは本職のナレーターかと思うくらいの

語り・声の良さですが、私の方はとなるともう……

 

小学館のサイト「小説丸」からお聴きになれますので、

よろしければどうぞ。

 

第76回日本推理作家協会賞

去る五月十一日、日本推理作家協会賞の選考会が開かれました。

選考の結果、受賞者は以下の通りです。

 

〈長編および連作短編集部門〉
芦沢 央『夜の道標』(中央公論新社
小川 哲『君のクイズ』(朝日新聞出版)
〈短編部門〉
西澤 保彦『異分子の彼女』(Webジェイ・ノベル 2022/3/29配信)
〈評論・研究部門〉
日暮 雅通シャーロック・ホームズ・バイブル 永遠の名探偵をめぐる170年の物語』(早川書房

 

私は今回より長編及び連作短編集部門の選考委員を務めております。

喜国雅彦さんも私共々今回からの参加で、四年の任期をずっとご一緒することになります。

(担当部門は二年でスライドするので、私も喜国さんも再来年には短編部門と評論・研究部門の選考委員に移行します)

喜国さんと私は同じ年(第68回)に日本推理作家協会賞(喜国さんは評論その他の部門)を受賞した御縁もあり、緊張しつつ選考会に臨みました。

 

短編部門、評論・研究部門の選考はすぐに終わったそうなのですが、長編及び連作短編集部門は長引きました。

と申しますのも、今回はどれが受賞してもおかしくない作品ばかりで、事務局から候補作決定のお知らせを受けたときは、正直「これは難しい」と唸りました。

叶うことなら全作に贈賞したかったくらいです。

(選考の様子は日本推理作家協会の公式サイトにて後日公表される選評と選考過程をお読み下さい)

 

長編及び連作短編集部門の選考が長引いたのは予想通りなのですが、一つ意外であったのは、私と喜国雅彦さんの意見がほぼ同じであったということです。

これは本当に予想外で驚きでした。

 

ともあれ、関係者の皆様、お疲れ様でした。

そして何より、受賞者の皆様、おめでとうございます。

心よりお祝い申し上げます。

NEWSポストセブン

週刊ポスト」掲載のインタビューがウェブでも読めるようになりました。

気が向きましたらどうぞよろしく。

月村了衛氏が明かす『香港警察東京分室』誕生秘話 「文芸はエンタメ性と今の時代に考えるべきテーマを伝える効能との両立が可能」|NEWSポストセブン (news-postseven.com)