8月27日発売予定。新潮社刊。
以前より公言していますが、私は『東京輪舞』から小説家として言わば第二期に入ったと自覚しています。
『悪の五輪』に続く第二期の三作目は、『欺す衆生』。
昨年「週刊新潮」に連載した作品。
クライマックスからラストまで全面改稿の上、満を持していよいよ刊行です。
HONTOの特集企画「東京オリンピックを舞台にした小説ランキング」で、拙作『悪の五輪』が
「昭和の部」第一位
「昭和・令和総合部門」第三位
に選ばれました。
詳細はJ-CASTの記事からご覧頂けます。
https://www.j-cast.com/trend/2019/06/19360345.html?p=all
また現在発売中の「週刊現代」の〈日本一の書評〉で、
『悪の五輪』が採り上げられました。
評者は川本三郎さんです。
以下のリンクからどうぞ。
https://www.bookbang.jp/review/article/568690
採り上げて下さった皆様、ありがとうございます。
『悪の五輪』未読の方はぜひどうぞ。
私が『機龍警察』の打ち合わせで「みどライザ」と言っていたのは、単にいちいち『緑とライザ』と言っていると長いからにすぎません。(複雑な打ち合わせほど効率化が必要なのです)
ですので、CPを意味しているのではないのですが、その呼称をファンの皆さんが使っておられる用語から採ったのも確かです。
初期には「みどラド」という呼び方も見られたと記憶していて、個人的にはそちらの方がより短くて言いやすいと思ったのですが、残念ながら定着しませんでした。
ちなみに、「ミレ霧」も「霧ミレ」よりは語呂がいいという、ただそれだけの理由で私自身で命名し、打ち合わせで使っていました。
『円盤皇女ワるきゅーレ』の「秋ドラ」も私の命名で、後に合体して「最強超女アキドラ」というキャラクターになってしまいます。
「秋ドラ」の場合、
秋菜「秋ドラと呼ばないで」
ハイドラ「ハイ秋じゃ語呂が悪いぜ」
なんていう掛け合いまでやらせました。
『天地』の「ミホキヨ」も私の作で、略称を自身で使い始めたのはこれが最初です。
やすしきよしの「やすきよ」の韻を踏んで作りました。作中で「ミホキヨ」と呼ばれた清音(美星とコンビにされたくない)が「やすきよみたいでイヤだ」と言ったりします。
思えば私にとって、清音と美星とは、腐れ縁から始まって互いに真のパートナーシップを築くまでの物語でした。
『ノワール』ではこれはさらに深化徹底していて、一番最初の企画書の冒頭から、誤解の余地なく、
「霧香とミレイユは、最終的に〈魂の伴侶〉となる」
と明記しています。
(にも関わらずそれは理解されず、途轍もない苦労を強いられました。あのときの苦労に比べれば、週刊誌二本+月刊誌+αなど苦労のうちには入りません)
六月二十日より全国書店にて開催される早川書房のフェアに関連して、
昨年SFマガジンに収録されたインタビューがウェブ上に再録されました。
未読の方はこちらからどうぞ。
https://www.hayakawabooks.com/n/n179ebde4759a
(そして『機忍兵零牙』もよろしくお願いします)
いよいよか――
土俵に上がった力士は、横目で枡席の方を見た。
その日のために設置された椅子に座ったトランプが、馬鹿のような薄笑いを浮かべてこちらを退屈そうに眺めている。
国技たる相撲の伝統からすれば、絶対にあってはならぬ光景であった。
この日のために、ワシは――
「はっけよーい……」
行司の声も、もう聞こえない。
今だ――
土俵を駆け下りた力士は、驚愕する相撲協会関係者を尻目に、トランプ目指して一直線に突進する。
長年鍛え上げた必殺の張り手ならば、トランプを一撃であの世へ送ることなど造作もない。
護衛の黒服がたちまち十人以上も立ちふさがるが、命を捨てた力士の猛進を止められるものではなく、紙屑の如くに片端から蹴散らされる。
その巨体を持て余したかのように、トランプがのろのろと立ち上がった。
逃がしはせぬ――
「お命頂戴仕るッ!」
憎き相手に繰り出された渾身の張り手。
しかし――
それを紙一重で躱したトランプは、力士とがっぷり四つに組み合ったのだ!
組んだ瞬間、力士は相手の力量を悟っていた。
つ、強い――!
屈強の関取を相手に、トランプは一歩も退かぬ。
全世界瞠目の大一番がここに始まった!
刊行中の『悪の五輪』に関するインタビューが
「現代ビジネス」に掲載されています。
webでご覧になれますので、
よろしければお目通しの程を。
来週の木曜、五月十六日、『悪の五輪』いよいよ刊行。
私の元にはすでに見本が届いております。
関連インタビューを受けた後で、「これはエルロイの手法でもあるのではないか」と気づきました。
暗黒のアメリカ近現代史を扱ったジェイムズ・エルロイの諸作にも、J.F.ケネディ、キング牧師、ハワード・ヒューズといった面々が登場し、陰謀の限りを尽くして暗躍します。
同様の視点から見た東京オリンピック、そこに綺麗事などあろうはずもありません。
否、美しいことなど最初からない。昔も、そして今も。
『悪の五輪』御期待下さい。
八重洲ブックセンターで五月三十日に催されるトークショー&サイン会もどうぞよろしくお願いします。
本と映画界の裏話、私の口がどこまで滑るか、それはお相手の春日さんの腕次第ということで。