月村了衛の月録

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第72回 日本推理作家協会賞 決定

第72回 日本推理作家協会賞選考会において、
下記のように決定しました。

・長編及び連作短編集部門
 葉真中 顕 『凍てつく太陽』(幻冬舎

・短編部門
 澤村 伊智「学校は死の匂い」(野性時代 2017年8月号)

・評論・研究部門
 長山 靖生『日本SF精神史【完全版】』

贈呈式は5月27日(月)午後6時より新橋の
第一ホテル東京にて行われます。

受賞様の皆様、おめでとうございました。

『悪の五輪』刊行記念トークイベント

『悪の五輪』(5月14日・講談社刊)刊行を記念して、

5月30日(木)、八重洲ブックセンター本店にて

トークショーを開催致します。

お相手は時代劇・日本映画研究家の春日太一さん。

詳細は下記をご参照下さい。

https://www.yaesu-book.co.jp/events/talk/16053/

 

イヤと言うほど濃厚な話を繰り広げるつもりですので、

どうか奮ってご参加の程を。

 

男根

骨折のリハビリをかね、足を引きずりつつ久々に書店へ。

新刊の平積みを見ていると、『男根』なる本が目に飛び込んできた。

山根明・元日本ボクシング連盟会長の著書である。

如何にもなタイトルというべきであろうが、それにしても大胆というか、思い切ったものだなあと思いつつ、別の書店を覗いてみると、書名は『男 山根』となっていた。

つまり最初の店では、帯が上にずり上がって書名の一部を隠していただけなのであった。

考えるまでもなく、社会的にアウトな書名が店頭に並ぶはずもないのだが、山根会長ならそちらの方もアリなのではと少し思った。

 

東芝COCOM事件

拙著『東京輪舞』は作者の創造によるフィクションであり文芸作品ですが、作中には実在の人物が多数登場します。当然ながら執筆に当たっては編集部と相談しながら充分に配慮致しました。

「1986 東芝COCOM違反」の章に登場する、事件の告発者・熊谷一夫さんもまさに実在の人物であり、作中記しました通り、勇気を持って内部告発された方ですが、この方について調べてみて驚いたのは、事件後「熊谷独」の筆名で作家となり、日本推理作家協会の先輩会員でもあられたことです。

そのときは確認できなかったのですが、最近になって、某出版社の方から数年前にお亡くなりになったと伺いました。(今改めて日本推理作家協会会員名簿を調べると、物故会員としても掲載されていないので、お亡くなりになる前に退会なされたのでしょう)

『東京輪舞』執筆の過程で当時の騒動に何度も思いを馳せたものですが、そのとき事件の中心にいた人物について、よもや自分が後年こうした形で触れることになろうとは、

夢にも思っておりませんでした。

今頃になって大変忸怩たるものがあるのですが、数奇な人生を歩まれた熊谷さんのご冥福を謹んでお祈り致します。

麻雀放浪記2020

無事上映されるようで大変結構なことだと思います。

なんだか東映の英断みたいな「イイ話」として語られているようで、そのこと自体に別に異論はないのですが、私には

「もうでけとるシャシンがもったいないやろが! 今劇場(コヤ)にかけんでどうするんじゃあ! 今やったら客が来るに決まっとるやんけ! クレーマーがなんぼのもんじゃ! ガタガタ文句言うて来る奴おったらなんぼでも対応したるわボケ!」

という、映画史的に申しましても大変に伝統的な東映の社風、精神に極めて忠実な対応であると思えてしまうのは、私の認識が歪んでいるせいでしょうか。 

骨折

急遽決定せし『天兆五輪百合爛漫腑衛啊』の為、長年手を付ける事さえ叶わなかった『機忍兵零牙』の修正に着手せり。

    (早川書房『世界の百合似非衛府大全』より)

元来電子版作成の為の修正であった筈が、この機に乗じて新装版刊行の運びと成りしは誠に重畳であったが、

筆者は先週自宅にて足指を骨折、誕生日の翌日たる明日より入院、全身麻酔の上手術と相成ったは如何なる不運か。

間断なく襲い来る怒濤の締切に、果たして筆者の運命は。

以上、此全て真実の近況報告也。