月村了衛の月録

小説家 月村了衛の公式ブログ        連絡先 fidenco@hotmail.co.jp 

聖地巡礼

時代小説家としても登山者としても昔から訪れてみたいと思っていた大菩薩嶺
愚息、友人と共に登って参りました。
強力な晴れ男である愚息のおかげか、天気予報に反して快晴で、富士もその雄渾な姿を見せてくれました。
大衆文芸の祖である『大菩薩峠』。
作者中里介山の筆による『日本武術神妙記』は我が座右の書でもあります。

[追記]
表題に慣れぬ新語を付けてみましたが、よく考えると
サイコパスの浪人が巡礼の親娘を斬殺するのが大菩薩峠なので、
聖地巡礼どころか
巡礼殺害の犯行現場ですね。

第71回日本推理作家協会賞受賞作決定

昨日午後三時より第一ホテル東京にて第71回日本推理作家協会賞の選考会が行われました。
厳正、真摯なる選考の結果、以下の受賞作が決定致しました。


□長編および連作短編集部門
古処誠二「いくさの底」(KADOKAWA)

□短編部門
降田天「偽りの春」(野性時代8月号)

□評論・研究部門
宮田昇「昭和の翻訳出版事件簿」(創元社


古処誠二さん、降田天さん、宮田昇さん、おめでとうございます。
心よりお祝い申し上げます。

私は短篇部門と評論・研究部門の立会理事でしたので、
緊張しつつ、息詰まる思いで選考会の進行を務めさせて頂きました。
これから選考経過を執筆しなければなりません。
少ない字数で極力厳密に報告できるよう、当日以上に緊張しています。

推理作家協会賞は伝統ある大きな賞です。
なにしろ第一回の受賞作が横溝正史「本陣殺人事件」ですから!

本項を書くために推理作家協会のサイトで歴代の受賞作と候補作を
再確認したのですが、受賞作だけでなく、候補作もまあ歴史的名作が
あれもこれもと並んでいて、しばし声を失います。

皆様もこれを機に歴代受賞作、候補作を是非お手にとってみて下さい。

にゃー

我が愛用のコーヒーコップを妻が次々に割ってしまうのでいろいろ探しています。
気に入ったものはなかなか見つかりません。
これは一歳八ヶ月の娘をうらやましがらせようと買いました。
「おとうさんのだよー」と見せるたび、指差して「にゃー!」と言います。

刑事モース

先週開始のシーズン2から見始めたのですが、もう実に面白い。
毎週このクオリティなら素晴らしいですね。
特に今週の『鏡の国の少女』はほとんど横溝正史金田一耕助モノか
と思いました。過去の惨劇とか、出没する幽鬼とか、紋章の謎解きとか。
いや、堪能致しました。

第71回 日本推理作家協会賞候補作

第71回 日本推理作家協会賞の候補は以下の作品に決まりました。
選考会は4月26日(木)午後3時より。記者会見は同日午後6時から。

なお、本年度から【評論その他の部門】は改称されまして、
【評論・研究部門】となります。
よろしくお願いいたします。

候補作

【長編および連作短編集部門】
いくさの底     古処 誠二(KADOKAWA)
インフルエンス     近藤 史恵(文藝春秋
Ank : a mirroring ape 佐藤 究(講談社
かがみの狐城     辻村 深月(ポプラ社
冬雷         遠田 潤子(東京創元社

【短編部門】
ただ、運が悪かっただけ 芦沢 央  (オール讀物2017年11月号掲載)
火事と標本     櫻田 智也 (東京創元社『サーチライトと誘蛾灯』収録)
理由(わけ)     柴田 よしき(文藝春秋『アンソロジー 隠す』収録)
偽りの春     降田 天  (野性時代2017年8月号掲載)
階段室の女王     増田 忠則 (双葉社『三つの悪夢と階段室の女王』収録)


【評論・研究部門】
ミステリ読者のための
  連城三紀彦全作品ガイド     浅木原 忍(論創社
アガサ・クリスティー大英帝国
  名作ミステリと「観光」の時代 東 秀紀 (筑摩書房
本格ミステリ戯作三昧
贋作と評論で描く本格ミステリ十五の魅力 飯城 勇三(南雲堂)
乱歩と正史
  人はなぜ死の夢を見るのか   内田 隆三(講談社
昭和の翻訳出版事件簿         宮田 昇 (創元社

日本推理作家協会 書評・評論募集 第四回締切のお知らせ

次回の締切は六月末日です。
良い機会ですのでネット論客の皆様もひとつ腕試しにいかがでしょうか。
応募要項は以下のページをご覧下さい。
http://www.mystery.or.jp/

また第二回の結果と選評も掲載されております。
秋好亮平氏通俗的な、余りに通俗的な――初期連城文学試論」が奨励賞に選出され、
全文が掲載されております。