月村了衛の月録

小説家 月村了衛の公式ブログ        連絡先 fidenco@hotmail.co.jp 

近況、雑記

・多忙です。今度のゴールデンウイークが山となるでしょう(連休に山に登るという意味ではありません)。一年前は特捜部が地獄でしたが、今年は私が地獄というわけです。

・先月八重洲ブックセンターで開催されたファンミーティングを振り返って(本当は振り返っている間もないのですが)
 読者の方に頂いたお菓子など頬張りつつ、独り反省をしております。
 私の話は『機龍警察[完全版]』収録のインタビュー、自作解題などを皆さんが読んでいることを前提にしたものでした。しかし中には未読の方もいらっしゃったかも知れません。
 話す方としては同じ事の繰り返しになるので話さなかっただけで、そもそも、自作解題でもインタビューやエッセイと重なる内容については記しませんでした。
 シリーズをより楽しみたいと思われる方は、是非[完全版]をお求め下さい。

・「機龍警察」シリーズについては、新作の執筆が最優先であると考えます。そのため他の作業の時間は到底とれません。『暗黒市場』の文庫化は当分ありません。先の予定も未定です。シリーズ継続のためにも、ご理解、ご協力を賜れれば幸いです。

・何度も申しておりますが、『ノワール』の正式タイトルはカタカナ四文字です。しかし、一向に浸透しないばかりか、私の某著書の経歴欄でも『NOIR』となっています。著者校では『ノワール』となっていたのに、無断で変えられてしまったのです。版元に理由を質しますと、「校正がウィキペディアでそうなっているのを見て直した」とのことでした。
 著者本人よりウィキペディアが信用される。まさしくネット社会の病理です。

ウィキペディアに間違いが多いのは今さら言うまでもありませんで、
自分の項目に関して申しますと、先に挙げた『ノワール』の表記をはじめとして、不正確な記述や抜けている作品の多いこと多いこと。
〈ネットに書かれていないものは存在しないものである〉とみなされる社会の恐ろしさよ。
ウテナ』で一本だけ執筆している「白井千秋」は私の別名義ですが、ウィキの該当項目をクリックするとまったく違う人物の項目に飛ばされて驚きました。
 経緯や事情を知らない人間の視野狭窄的な思い込みほど始末に負えないものはありません。


・また、そうした根拠のない思い込みによる悪質なデマも実に多く、
「『ノワール』は最初は主人公が男二人の企画だった」というのもそのひとつです。
あれは女性でないと成立しない話ですし、制作会社どころかメーカーに持ち込む以前に、シナリオはすでに二本が完成しておりました。当然主人公は霧香とミレイユです。

・ついでに申しますと、『ノワール』は最終回を除きほぼ脚本通りですが、徹頭徹尾周囲の無理解に苦しめられ、挙げ句の果てに「ソルダ」の正体を中途半端な形で示さざるを得ませんでした。
分かる人には察しがついたのではないかと思いますが、そうと分からない人も多かったことでしょう。
ちなみに、「ソルダ」とは組織や秘密結社の名前ではありません。