月村了衛の月録

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現実の進行速度 『香港警察東京分室』

『香港警察東京分室』第三回ゲラのチェック終わり、先ほど編集部に返送したところです。

(第一回は現在発売中の「STORY BOX」六月号に掲載されています)

 

これまで私は作家として、現実との追いつ追われつのデッドヒートを繰り返して参りましたが、ここまでくるともう現実に対して「キミはなかなか早いねェ」などと軽口の一つも飛ばしてやりたくなります。

と申しますのも、今年の4月1日に警視庁組織犯罪対策部で大きな組織改変があり、課の名称が一変したのです。

執筆段階で追い抜いてくれたので、第一回は余裕で修正することができました。

 

『香港警察東京分室』第二回掲載の「STORY BOX」七月号は6月20日発売です。

追悼

昨年末くらいから私にとって思い入れの深い、御恩のある多くの方々が亡くなっている。

そのつど追悼文を書こうと思うのだが、ショックが大きすぎて手を付けられずにいるうちに、また別の方が亡くなるという繰り返しで、とうとう何も書けずに今日に至ってしまった。

 

とりわけジャック・ヒギンズの逝去による喪失感は大きかったが、「ミステリマガジン」から追悼文の依頼があったのでそちらに書くことにした。

個人的なことだが、拙著『脱北航路』の題名は、もちろんヒギンズの『脱出航路』に由来する。

『脱北航路』発売の数日前にヒギンズが逝くとは、こういう形で〈現実に追い抜かれる〉とは想像もしていなかった。

 

昨年秋に亡くなられたミステリ研究家の松坂健さんには、『狼眼殺手』執筆前にお世話になった。

ホテル・旅行業界とも縁の深かった松坂さんが、帝国ホテルの偉い人で当時関連会社の会長だった藤島滋郎さんを紹介して下さったのである。藤島さんへの取材の成果が、『狼眼殺手』クライマックスの死闘に活かされている。

その藤島さんも数年前に亡くなっておられ、痛恨の念が増すばかりである。あのときお世話になった方々には改めて御礼を申し上げたい――そう思うばかりで実行に移すことのなかった己を責める。

 

またプライベートでもお世話になった方が昨年末に亡くなった。この人の業績についてはいずれ稿を改めて書く。

 

皆様、安らかにお眠り下さい。

『脱北航路』関連ページ

幻冬舎plusの著者インタビューや試し読み等のページを以下にまとめておきます。

 

著者インタビュー

https://www.gentosha.jp/article/20853/

書店員様ご感想(多謝!)

https://www.gentosha.jp/article/20898/

試し読み(第一回~第四回)

https://www.gentosha.jp/article/20784/

https://www.gentosha.jp/article/20785/

https://www.gentosha.jp/article/20786/

https://www.gentosha.jp/article/20787/

 

著者インタビューではテーマに対する私の姿勢を中心に、

以下のようなことも述べております。

「こういった作品を書く時に、司令部や政府の動きも書けばもっとよくなるのに、という人が必ずいるんですよ。聞くに値しない素人考えですね。『土漠の花』でも言われました」

作品理解の上からも、このあたりも是非お読み頂きたいと存じます。

『脱北航路』インタビュー

幻冬舎プラスのサイトに私のインタビューが掲載されています。

https://www.gentosha.jp/article/20853/

作品のテーマに関する部分はもちろんですが、

「テクノスリラーに興味はない」

「各国政府が会議しているシーンなどはこの作品には不要」(という意味)

等の発言にもご注目下さい。

 

また本日発売の産経新聞朝刊にも私のインタビューが

掲載されています。(私は未確認ですが)

お目通し頂けましたら幸いです。

 

『脱北航路』試し読み

本日発売となりました『脱北航路』

幻冬舎plusのサイトから試し読みができます。全四回です

https://www.gentosha.jp/article/20784/

 

※以降、試し読みは

第2回目 4月15日(AM6:00)

第3回目 4月17日(AM6:00)

第4回目 4月19日(AM6:00)

を予定しています。

興味を持たれた方は是非ご高覧下さい。