作品執筆の際には膨大な資料を読む。そのために普段から収集を怠るわけにはいかない。
しかし、現代の国際情勢は常に大きく変動している。
特にニューヨーク同時多発テロの前と後では世界が一変し、買いためた資料の多くが反故と化した(もう古い話かもしれないが、事件の記憶は風化させてはいけないと思う)。
今も継続中のウクライナへの侵略戦争では、ロシア情勢が大方の想像を超えて大きく変化した。これからは新しい資料が必要となってくる。
にもかかわらず――
『未亡旅団』執筆当時のチェチェン情勢は今も変わらず、カディロフ大統領とカディロフツィは当時と同じく暴力による圧政を続けている。のみならず、プーチンの尖兵となって世界のニュースを賑わせているではないか。
その変化のなさに暗澹たる気分になる。