月村了衛の月録

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トーク終了

池袋コミュニティ・カレッジ「現代ミステリー小説を問う」無事終了致しました。

ご来場の皆様、スタッフの皆様、そして杉江松恋さん、ありがとうございました。

皆様の温かいお言葉に励まされたひとときでした。

 

最初の方で、杉江さんから脚本と小説についてのご質問があり、そのとき何か言おうとして前振りをグダグダ話しているうちに、何を言おうとしていたのか忘れてしまうという、大変恥ずかしい一幕がありました。

先ほど思い出したので、今さらながら補足させて頂きます。

分かりやすく順に記しますと、

ご質問に対する私の回答は

「私はこれまで自分が手掛けたすべての作品に対し、誇りと自信を持っている。しかし脚本と小説とはまったくの別物なので、脚本家の経験が現在に影響していることは皆無である」

でして、そこまでは会場で発言しました。

言い損なったのがその後で、

「現代の小説は、意識するしないにかかわらず、映画をはじめとする他メデイアからの影響と無縁ではいられない。わかりやすい例で言えば、スティーヴン・キングは最初期から映画的手法を意識的に取り入れている。それにより、語り・表現技術の幅が広がった側面は確固としてある。キング以降の作家・作品は言わずもがなであり、ただ在るのは、現代がどういう時代であるか、またその時代と作品との関わりについて自覚的か否かの違いのみである」

という意味のことを言おうとしていたのでした。

こうして書いてみると改めて言うほどのことでもない、ごく当たり前な事のように思えてきて、いずれにしてもその場で言えなかった己のスッポ抜け具合に泣けて参りました。

 

追伸 小説という表現はこれだけ自由なのだ、

ということをもっと強調したかったなあ、と

ぼんやり想う帰り道でありました。