月村了衛の月録

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背表紙の色

まったく知らなかったのですが、講談社文庫の背表紙の色は、日本人作家の場合、
橙・山吹・若草・緑・藤・空・灰・朱・桃・茶
この十色の中から著者自身が選択することになっています。
(例外もないわけではなく、重松清さんは「黒」の背表紙です)
ただし一回選ぶと、講談社文庫では以後もずっとその色になって、変更はできないということです。

そこで書棚から各色の講談社文庫を引っ張り出してきて検討しました。
どの作家がどの色を選んだか、こうしてみるとなかなか興味深いものがあります。
宮部みゆきさんは「朱」、浅田次郎さんは「藤」、桐野夏生さんは「空」と、どの色にも錚々たる名前が並んでいます。

私が結局何色を選んだかと申しますと、「灰」。
これこそ講談社文庫伝統の色であると私には思えたからです。
すなわち、池波正太郎の「灰」であります。

というわけで、『神子上典膳』宜しくお願い申し上げます。
願わくは池波正太郎先生の文業にあやかれますよう。